[特別企画] モノト・シチュエーション 阿部氏/庄子氏へのインタビュー

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Published 2017年10月15日 by 編集長 田口

リリースのタイミングについて

田口:
もうこのインタビュー時点でシナリオは完成していると思うのですが、3部作にしたのにはどういった意図ですか?

阿部:
はじめは20章ぜんぶ一気に出すつもりだったんですよ。

田口:
え!? 意図していなかったと?

阿部:
はい。シナリオを分割すると分割配信機能を導入しないといけないんです。サブアップデートを考えなきゃいけない。コンテンツのロック/アンロックのセキュリティ面も考慮する必要が出てくる。セーブデータのバージョン管理も含めて、それは大変なのでしたくなかった。

田口:
ということは仕方なく3部作に?

阿部:
こういったプロジェクトに開発上のトラブルはつきものなのですが、立場上そういった問題は僕が対応するしかない。それもあって脚本の執筆が遅れに遅れて、ようやく収録を開始できたのが2016年8月でした。

田口:
はい、それはとてもあり得る事象です。

阿部:
しかも、音響監督も兼務しているのでその間は地下のスタジオに丸々こもる必要があって他の作業は一気にペースダウン。

田口:
ああ、そうか。音響も (笑)

阿部:
ええ、そのときは収録が終わったと同時に演出作業に集中すれば3カ月で全20章はいけるはず、それであれば年内にはリリースができるだろうと見込んでいました。ですが、いざ収録が終わってシナリオエンジンを触ってみたら、このままでは十分な演出ができない問題が発覚しました。

田口:
なるほど、蓋を開けてみると。

阿部:
それまでの単体テストではうまく動作できていました。ですが、それを複数同時に実行すると命令ごとの相性問題でうまく動かなかったんです。そこで今後どうするかという検討を9月いっぱい模索して、最終的に出した答えがシナリオエンジンのゼロからの作り直しでした。

田口:
このタイミングでですか!

阿部:
さすがに今回は失敗できないので、エンジン開発は僕がひとりで担当しました。こういった場合は少人数がいいですし、なによりエンジンの仕様を切ったのも、それを使うのも僕自身なので、だったら自分で作るのがいちばん安全だよねと (笑)

田口:
ええ、そうなりますよね (笑)

阿部:
ただ、その選択をした時点で全20章同時リリースは不可能です。前後編という中途半端な形にもしたくなかった。そんな中で三分割であればストーリーの盛り上がりポイントにもうまく合致すると分かって、思い切って分割配信方式を決断しました。配信方式の変更には追加開発が必要になるので、もうそこがラストチャンスでしたね。そのリプレース作業に10月を丸々使い、11月の1カ月をシナリオ作業に割り当てた結果、リリース時には6章分しか間に合わなかったんです。

田口:
そんなことがあったんですか…

阿部:
ええ、しかもチームは基本的にクリエイターばかりだったので広報スタッフがいない。広報は僕がやるしかない。なので、公式サイト用の原稿や映像を作って、プレスリリースを書いて、広報用の資料をまとめて、雑誌に原稿を出したりなんかもやっていました。11月はシナリオ作業といっても実質半分は広報作業でしたね。

田口:
うわぁ…仕事量がおかしい…

阿部:
今更なんですが当初のミッションは「プログラムは書かない」「自分がやった方が早いっていうのは無し」で行こうと!途中まではそうしてたんですけど(笑) 結局最後はこうなってしまいました。

田口:
(笑)

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