[特別企画] 2017年 上半期グラフィックカード情勢

Database

Published 2017年5月18日 by 編集長 田口

2017年 上半期はまだ後1ヶ月ほどを残しているものの、役者がほぼ出そろったところなので、ここで総括を含めて「グラフィックカードのこれって何ぞや」を色々と書き溜めておくこととした。これをもとに2018年以降に訪れる買い換え時期の参考にしてもらえればと願う。

2017年 TITANの血脈 NVIDIAの攻勢

2016年後半からはGTX 1050 Tiなど、3Dゲームユーザーに向けた訴求を行いながら2017年に入ってからがNVIDIAの猛攻ターンになった。

GeForceシリーズは上から下まで満遍なくラインナップを拡充。2017年3月には、GTX TITAN Xのゲーマー用モデルGTX 1080Tiをリリース。同年5月には最下層とも言えるGTX 1030を送り出したことで、上から下まで出そろった具合だ。

例えば『ファイナルファンタジーXIV』や『Skyrim』をプレイするならGTX 1050 Ti以上を、VRやFPS系をプレイする場合にはGTX 1080 TiをとPascal世代と言われるグラフィックカードを取り揃えた。

特筆すべきはそのパフォーマンスで、NVIDIAは当初Sapphireが採用を推し進めていたVapor Chamberの冷却機構をファウンダリレベルで採用、別段熱くもならず五月蠅くもならない秀逸なクーラーを標準搭載してきた。

GTX 1080 Ti と従来製品の比較
GTX 1080 Ti GTX 1080
シェーダプロセッサ数 3,584基 2,560基
テクスチャユニット数 224基 160基
ROP数 88基 64基
ベースコアクロック 1,480 MHz 1,607 MHz
メモリクロック 11 GHz相当 10 GHz相当
メモリタイプ GDDR5X GDDR5X
メモリインターフェース 352 bit 256 bit
メモリバス帯域幅 484 GB/s 320 GB/s
TDP 250 W 180 W

なおGDDR5Xのメモリチップを搭載したことで、その記憶容量は1チップあたり4, 6, 8, 12, 16 Gbitの各種類で,いずれも16バンク構成。メモリの大容量化に寄与することとなった。また、Pump Voltage(Vpp)の面では、GDDR5が3.3 Vだったのに対してGDDR5Xでは1.8 Vと半分近い省電圧設計となっている。

そして大きな相違点としては、メモリ実クロックとメモリインターフェースが同一だった場合、GDDR5XはGDDR5比でメモリバス帯域幅が2倍になる点にある。

図はGTX 1080 Ti リファレンスボード

鮮烈デビューのRXシリーズ AMDの猛追

2017年で目が離せないのがAMDだ。

2016年6月には、NVIDIA GeForce GTX 1060と同等性能の Radeon RX 480 が$239 の圧倒的な安さでデビュー。

2017年3月には、Intel®のサーバーグレードに引けを取らないRyzen CPUが登場。最上位のR9 1800Xに至っては同じ8コア16スレッドのIntel® Core i7-6900Kのほぼ半値で同等性能を世に送り出してきた。

そして2017年6月、GeForce GTX 1080 Tiに真っ向勝負を挑む Radeon RX Vegaが$100安い$599で市場奪還を目論む。

Radeon RX Vega

写真はRadeon Vega Frontier 水冷バージョン

Radeon RX Vega と GeForceライバル機との比較
Radeon RX Vega GTX 1080 Ti GTX 1080
シェーダプロセッサ数 4,096基 3,584基 2,560基
テクスチャユニット数 TBC 224基 160基
ROP数 TBC 88基 64基
ベースコアクロック 1,525 MHz~ 1,480 MHz 1,607 MHz
メモリクロック TBC 11 GHz相当 10 GHz相当
メモリタイプ HBM 2 GDDR5X GDDR5X
メモリインターフェース 2,048bit~ 352 bit 256 bit
メモリバス帯域幅 480 GB/s 484 GB/s 320 GB/s
TDP 275W~ 250 W 180 W
市場想定価格 $ ~599? $ 699 $ ~599

来る2017年5月31日、コンピューテックス台北でのお披露目でどこまで開示されるか次第だが、ゲーマー諸兄が気にするべき点は3つ。

  1. テクスチャユニット数がRadeon R9 390Xの176基を超えるか
  2. ROP数はGTX 1080の64基を超え、GTX 1080 Tiに肉薄するか
  3. 空冷で70度を切るようなオリジナルファンモデルが出るか

上2つの項目は、3Dゲーム直結の課題であり、ここが疎かであれば、各種ベンチでGTX 1080 Tiに軍配が上がることとなる。Radeon RX Vegaには3つのSKUが用意されていると聞く。恐らく下位モデルでGTX 1080を捉えようとしているのだろうが、いつもながらの暴君ドライバで果たして対抗できるかどうか、その登場を待って判断したいと思う。

穴馬AMDがどこまで場を乱すか

何はともあれ、今年のPC市場では必ずしもGeForce 一択でなくなりつつあるのは事実かも知れない。

Steamのハードウェア情勢で見てみると、依然としてGeForce 6割、AMD 2割な状況は変わらないとしても、Radeon RX Vegaによる一時的な賑わいから間髪入れず「何か」を仕掛けられるならば、赤いターンが盛り返しても不思議ではない。

Share